左に回りました。
左回り。
時計の針が、左回り。
不思議だね、
不思議だよね。
だって、左回りの向こう側に
懐かしい自分が立っていたんだ。
過去の自分は嫌い…って思っていたけど
そうでもなかったね。
過去の自分をそっと見つめたら、
励まされた、
励まされた、
励まされたよ。
元気でたよ。
まさか自分に励まされるなんてね。
それも過去のね。
未来の自分にばかり目を向けてないで
たまには左回りの自分を見つめるのも
いいかもね。
大切な自分の欠片、たくさんころがってるね、
輝いてるね、
光ってるね。
大事だね。
大事だよね。
全部、
全部、全部、全部
大事だね。
過去も、未来も
そして今の私も。
なんだか、また
地面に手をつきながら立ち上がれそうな気がしてきた。
過去の君のおかげでね。
この地方には珍しく雪が降った。
それも、ふわふわの綿雪だ。
珍しいものをみた。
車のフロントガラスの向こうの世界で
ふわふわと白い妖精のような綿雪がつぎつぎと
地上に舞い降りてくる。
気がつくと、涙を流していた。
ただでさえ雪で視界が悪いのに
これ以上視界がわるくなったら事故っちゃうじゃないか…
手でぬぐうも…
なぜだろう…
次から次へと
涙はあふれ出す。
声まで出して泣きそうになった。
なんでだろう。
綿雪はぼくのそんな動揺なんて関係なく
ふわふわと振り続ける。
たまらず車から降りて
空を見上げた。
不思議と涙は止まっていた。
あまりの幻想的な世界に、
僕は思わず空に心が吸い込まれそうな間隔に
一瞬だけ、
ほんの一瞬だけだけど
落ちそうになって、
はっと、現実に引き戻された。